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第4章 日タイのプロダクトプレイスメントの分析と整理
本章では、第3章で示した方法により行った調査の分析の結果をまとめる。
4.1日本のドラマの分析
分析1 作品名:FOLLOWERS 閲覧媒体:Netflix
2020年に配信が開始されたNetflixのオリジナルドラマである。34の国と地域で配信されている。
Table 1 「FOLLOWERS」のフレーム分析(一部抜粋・筆者作成)
実在する俳優、商業施設、ブランドやアーティストの楽曲を用いるなど、現実社会を織り込むシットコムの要素が強いため、意図しないプロダクトプレイスメントが多いドラマであった。また、上記に挙げた点はエンドロールの協力に名前の入っていないが頻繁にプレイスメントされるものもあった。Netflixのオリジナルドラマであるからここまで自由なプレイスメントの形であった可能性がある。
分析2 作品名:この男は人生最大の過ちです 閲覧媒体:Netflix
2020年にテレビで放送された。Netflixでの配信は日本のみであった。また、この作品は全話を通してプロダクトプレイスメントの演出が全くなかった。制作がABC /テレビ朝日(民放)であり、既存スポンサーとの折り合いがあるからと推測される。
分析3 作品名:逃げるは恥だが役に立つ 閲覧媒体:prime video
2016年にTBS系列で放送された。日本以外の配信国は不明である。
Table 2 「逃げるは恥だが役に立つ」のフレーム分析(一部抜粋・筆者作成)
Figure 3 さりげなくプレイスメントされている明治のお菓子製品 (筆者がスクリーンショットを撮影)
Figure 4 さりげなくプレイスメントされている明治のお菓子製品 (筆者がスクリーンショットを撮影)
プレイスメントが随所に見られた。しかし、ほとんどの製品が衣装協力、美術協力のものであり、宣伝目的のものではなかった。いくつかの花王製品は美術協力との記述はなかったため、スポンサー製品としてプロダクトプレイスメントされていたと考えられる。
また、横浜市やカフェベローチェなどが場所としてプレイスメントの対象となっていた。
村山(2016)が挙げていたように、「逃げるは恥だが役に立つ」のテレビ放送時はCMに日産の車、ジュークのCMに出演者が登場していた。しかし、配信版ではCMが切り取られたため、その映像を見ることはなかった。そのため、村山(2016)が提唱したプロダクトプレイスメントをただ流すだけでなく消費者にそれが宣伝であることをはっきり気づかせ、消費行動に繋げるために直後に CM を流したり広告を提示させたりすることが重要ではないかという考えは、テレビ放送のみに効果が限定され、映像配信が主流となってくるこれからの時代には有効だとは言い難い。
分析4 作品名:姉ちゃんの恋人 閲覧媒体:TVer
2020年放送、制作は関西テレビ・フジテレビである。
ストーリーに必要な製品はクレジットに協力品として記載されていた(e.g.,ピクニックシーンのテーブル、シートなど)。また、劇中に出てくる飲料のパッケージなどはロゴが映らないようにプレイスメントされていた。
結果として、日本ドラマでは宣伝であると誰もがわかるような意図的なプロダクトプレイスメントはほとんどの作品で見られなかった。先行研究にあったように、少しでもブランドロゴがドラマ内に映ったものは協力欄に掲載されていることが多く、利益を求めるためのものではなかった。
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