この記事を読むのに必要な時間は約2分51秒です。
2.1.4ドラマにおける非意図的なプロダクトプレイスメントが多い日本
2.1.1で日本ドラマでの導入事例はあまり多くないと述べたが、日本では非意図的なプレイスメントによって起こった購買行動が既に見られている。
Hackleyら(2013)の研究の中にSerendipitous placementという単語が示されている。(Serendipitous:偶然の意味)企業が広告代を払っていないにも関わらず、小道具として劇中などに登場したことが宣伝となることである。馬場(2005)の研究では、SMAPの木村拓哉がTBSドラマ「ビューティフルライフ」で愛用していたヤマハのバイクが爆発的に大ヒットしたことを挙げ、意図しない広告効果について述べている。現代では2018年に大ヒットしたドラマ「おっさんずラブ」の小道具が次々と店頭からなくなり、売り切れになったことがSNSで話題となった。筆者も百円ショップのアルバイトとしてこのムーブメントを経験した。残念ながらネットニュースにすらまとめられておらず、そのムーブメントの証明となるものがまとめサイトのみであるので参考文献以下に添付しておく。このムーブメントから、日本でもドラマ内でのプロダクトプレイスメントが有効に作用すると仮説を立てられる。
また、馬場(2005)はアンケートを行い、CMになるとチャンネルを変える無関心層の中の3割近くの人が「番組に出てきた商品を番組の影響で購入したことがある」と回答したことから、CMを飛ばす無関心層にプロダクトプレイスメントが有効なアプローチである可能性を示唆している。
西(2016)は、広告を出すスポンサー企業と番組を制作するテレビ局の関係から、既存のドラマの構造ではプロダクトプレイスメントが難しかったことに触れている。視聴者がドラマから影響され、商品を購入しようとした場合にエンドロールの協賛企業名から探し当てるほかないことがほとんどであり、その視聴者の行動を収益のチャンスに転換する必要性を挙げている。
実際に、上述のように、意図的でないプレイスメントによる売り上げ効果は日本でも既に証明されていることがわかっているが、その流れを企業が組み、意図的にプロダクトプレイスメントを実行することには至っておらず、既存のドラマ構造により促進されていないのが現実と言える。
【全文無料でご覧いただけますが、もし、コーヒー代や国会図書館でかかったコピー代を出してやってもいいぞって方は投げ銭してくださると泣いて喜びます】
https://ko-fi.com/yidongchunxiang
次はこちら