【卒論全文公開:第2章/2.1/2.1.1】

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第2章 先行研究とリサーチクエスチョン

 第2章では、先行研究から、プロダクトプレイスメントの歴史、導入背景を紐解き、現在の日本のドラマを取り巻く問題を明らかにし、リサーチクエスチョンを定める。

2.1先行研究の批判的検討

2.1.1プロダクトプレイスメントと歴史

 プロダクトプレイスメントが大きく発展したのはアメリカであった。1950年代に映画内の小道具として企業から商品を調達したことをきっかけに、ストーリー内の商品の露出に金銭のやり取りが絡むことになった(井徳,2015)。このアメリカで発展したプロダクトプレイスメントをさらに取り込んだのがアジアである。岩井・李(2006)は韓国でドラマの熱狂的なファンの消費行動を利用し、ドラマの放送局がホームページにショッピングサイトを開設し撮影セットで使用されたインテリア用品、家電、アクセサリーを実際に購入できるようにし、マーケティングに活用していることを挙げている。2020年に放送された中国のオーディション番組、『青春有你第二季』でも、練習生がスポンサー商品の飲料を練習の合間に飲んだり、インタビューシーンに必ず商品名のパネルと商品が映るようになったりしていた(姜濱,2020)。

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Figure 1 サバイバルオーディション番組にプレイスメントされるスポンサー商品 (筆者がスクリーンショットを撮影)

 日本では、遡ること200年前、1800年代に描かれた錦絵に白粉と販売店の住所、値段がさりげなく描かれていた(紅ミュージアム,2020)。

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Figure 2 溪斎英泉画「當世美人すがた」・香蝶楼国貞画「栄草當世娘」(部分)・五渡亭国貞画「四季ノ内 冬」(部分)(紅ミュージアム(2020)より引用)

 日本ドラマでの導入事例はあまり多くない。プロダクトプレイスメントを使用したとして先行研究で名前が上がったドラマ作品は「東京ワンダーランド(2004)」(馬場,2005)、「せいせいするほど愛してる(2006)」「逃げるは恥だが役に立つ(2016)」(村山,2016)である。

 一方で、「君の名は。」「天気の子」など近年アニメ映像作品でのプロダクトプレイスメントが顕著であった(SUGO6,2019)。2020年10月1日、アニメーション制作などを業務とする株式会社サンライズは『TIGER & BUNNY 2』を制作するにあたり、協賛企業を公募し、キャラクターのボディにスポンサーロゴを掲載すると発表した。

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