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2.1.2プロダクトプレイスメントの効果的作用
五十嵐(2010)はブランドや製品がドラマなどの編集部分に組み込まれる際は効果的であるが、広告部分でのプレイスメントはオーディエンス(広告の受け手、視聴者)が否定的な態度を示し、購買などの行動意向への影響を弱めると述べている。この点からも、ドラマ内のプロダクトプレイスメントが効果のある宣伝手法だということがうかがえる。
池田・吉松(2019)はシットコム 番組(e.g.,フルハウス)における実在の効果について分析し、ドラマなどの虚構空間に実在するブランド名や商品が登場した際の視聴者の反応について述べている。実在するものが劇中に登場した時は具体性を感じ、視聴者がただ非現実のストーリーを見るのではなく、虚構と現実の間に思いを巡らせることで、ストーリーを具体性や親近感を持って見るようになるという。
※シットコム⇨シチュエーションコメディの略
井徳(2015)もアメリカ広告主協会の2011年の報告からプロダクトプレイスメントに価値がある理由を3つ挙げている。消費者とより強い感情的結びつきを創り出すことができること、独自のブランドと関連あるコンテンツを並べて提携されることが可能なこと、希望する消費者とブランドの親密感を作り出すことが可能なこと、である。このように、視聴者の感情や親密感に訴えかけることがプロダクトプレイスメントの効果を増幅させるといえる。
山本・金(2005)は、日本ドラマにおけるプロダクトプレイスメントの効果についてアンケートを使用して検証した。結果としてドラマ内に多く登場するという「量」的な演出よりも、印象的なシーンに宣伝したい商品を組み込む「質」を重視した広告商品の露出形態が視聴者の記憶に残り、プロダクトプレイスメントの量より質が効果を左右することがわかった。
このようにプロダクトプレイスメントは消費者との結びつき、ブランドへの親近感など、受け手である視聴者の共感を得る広告の形であれば効果的に作用する。
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