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2.1.10 2020年代における日本のドラマを取り巻く状況

 先行研究で全く触れられていないのは、映画やドラマの定額視聴サービスの台頭である。数土(2020)は、動画配信ビジネスの2019年の国内市場規模は2158億円で、その影響は国内のみならず日本コンテンツが海外に進出するチャンスが生じていると述べており、動画配信サービスは大きく成長していることがうかがえる。

 また、2020年は新型コロナウイルスの影響によるドラマ撮影の中止に伴い、過去ドラマを編集し放送した特別編の放送が増加した。出演俳優の不祥事などのほか、問題となったのは、現在の日本ドラマは、放送時間の枠に対してスポンサーが対価を支払っているため、スポンサーの収益を考慮するとなかなか視聴者が望む作品の再放送が行えないというものである(木村,2020)。これがプロダクトプレイスメントの織り込まれた作品であれば、一度作品内に商品を織り込めば再放送される度に、消費者への宣伝を行うことができるため、スポンサーの収益への考慮は減るだろう。また、広告を打った作品がのちの世代にも語り継がれるほど有名になれば、世代を超えたブランド価値を持つことができる。

 一方で、デメリットもある。再放送の場合、新製品の宣伝は全くできない、収録時のパッケージがのちに変更されても、そのまま放送される、つまり、収録後に変更することができないことである。また、製品が倫理に違反するシーンや不祥事を起こした俳優のシーンに使われると、ブランドイメージを低下させる可能性がある。

 プロダクトプレイスメントは未曾有の事態や新しい分野の台頭との親和性があると言える一方、考慮する課題が多いことも導入が進まない理由であると仮定できる。

 このように先行研究は録画機能の台頭によるCMのスキップ、タイムシフト視聴の広告視聴への影響は述べられているが、まだスマートフォンの台頭によるマルチタスキングの影響や動画配信サービスの普及を想定している文献はほとんどなく、これらの要因が考慮されているとは言い難い。放送と広告の関係性に関して、新たな知見が必要とされていることは間違いない。

2.2 リサーチクエスチョン

 以上の先行研究から2 つのリサーチクエスチョンを定める。 

1. 現段階で日本・タイのドラマ作品はどれだけプロダクトプレイスメントを利用しているのか。 
2. 現段階で日本人はプロダクトプレイスメントに対していかなる態度をとるのか。 

第3章に示す方法によって、ドラマ分析とアンケート調査を実施し、第4章でこれらのリサーチクエスチョンに沿って詳しく分析し、日本の2020年代のプロダクトプレイスメントの可能性を明らかにしたい。

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